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 福島県三春町の芥川賞作家玄侑宗久さん(福聚寺住職)の同名小説を原作とする映画「アブラクサスの祭」の撮影終了報告会は十四日、福島市の民報ビルで開かれた。三春、国見両町を中心に行ったロケが無事終了したことを喜び合うとともに、作品の完成に期待を高めた。
 玄侑さんをはじめ、映画のスタッフや撮影を支えた三春、国見両町の関係者合わせて約百二十人が出席した。製作に加わっている福島民報社の渡部世一社長と福島テレビの糠沢修一社長、三春町の鈴木義孝町長、主要ロケ地となった国見町の佐藤力町長があいさつした。
 玄侑さんが乾杯の音頭を取り、タイトルにちなんで「ナム アブラクサス」と発声。撮影を振り返るなどして和やかに懇談した。
 協賛する柏屋の本名幹司社長、大七酒造の太田英晴社長、三春町の支援する会の幕田勝寿会長、国見町の支援する会の武田欣也会長も完成への期待などを語った。加藤直輝監督が謝辞を述べた。
 撮影は十一月中旬から今月上旬にかけて行われた。

  福島民報 2009年12月7日
 
 
  野口英世博士の母シカが英世にあてた手紙にちなみ猪苗代町(きずな)づくり実行委員会が主催する「第八回母から子への手紙」コンテストの表彰式は六日、福島県猪苗代町体験交流館で行われた。
 受賞者とその家族、来賓、一次選考委員を務めた町内の母親ら合わせて約九十人が出席。実行委員会の八子弥寿男委員長があいさつし、表彰に移った。
 大賞に輝いた野沢顕子さん(東京都)、準大賞の石墨玲子さん(山形県)をはじめ郵便事業株式会社賞に選ばれた高橋安子さん(いわき市)、優秀賞の菅野潔美さん(田村市)ら県内外から出席した十八人に賞状などが贈られた。
 最終選考委員長を務めた芥川賞作家の玄侑宗久さん(三春町、福聚寺住職)は「その人に起こった出来事そのものの壮絶さだけでなく、それを洗練された言葉で表現し尽くした作品の数々は、いずれも素晴らしいものだった」などと講評し、入賞者をたたえた。
 最後に大賞の野沢さんが自身の作品を朗読。耳下腺がんで顔や耳を手術し、退院後に幼い娘がどう思うだろうかと不安を抱えていた一方、今までと変わらず母親として信頼し接してくれたわが子への感謝の気持ちを込めた作品が披露されると、会場は大きな拍手と感動に包まれた。
 八年目を迎えた今年のコンテストには四十七都道府県と米国など海外四カ国から“子を思う母の愛”が込められた作品千百五編が寄せられ、大賞から佳作まで計五十三編が入賞した。


 福島民報 2009年12月7日
 
 福島民報/12月2日   ・福島民報/12月1日
 
 

 福島県三春町の福聚寺住職で芥川賞作家・玄侑宗久さん(五三)の同名小説を原作とする映画「アブラクサスの祭」は十二日、三春町の田村高でクランクイン(撮影開始)した。
 主演のスネオヘアーさんらに加え、田村高の生徒約五百人がエキストラとして参加した。加藤直輝監督の「よーい、はい」の掛け声で撮影。出演者は緊張しながらも和やかな雰囲気の中で演技していた。会場には玄侑さんも姿を見せ、撮影風景を見守った。
 オーディションに合格した県民も出演する。映画は来年秋の公開を予定している。

 福島民報 2009年11月13日
 
 
 
 福島県三春町の福聚寺住職で芥川賞作家・玄侑宗久さん(五三)の同名小説を原作とする映画「アブラクサスの祭」は十二日、クランクイン(撮影開始)する。十一日、加藤直輝監督、主演のスネオヘアーさんをはじめ製作に携わるスタッフ全員が福聚寺で映画の成功を祈願した。
 関係者約40人が参加。玄侑住職がきとうし、撮影の無事と映画の成功を祈願する切り返しの儀式を行った。玄侑住職は「撮影では思い通りにいかないこともあると思うが、すべてを味方にして良い映画を作ってほしい」と語り、加藤監督とスネオヘアーさんに激励品として鬼手仏心(きしゆぶつしん)と書かれたTシャツを手渡した。
 映画製作には、同町と福島民報社、福島テレビが加わる。オーディションに合格した県民も出演し、来年秋の公開を予定している。 

 福島民報 2009年11月12日
 

 
  
 福島県猪苗代町(きずな)づくり実行委員会が主催する「第八回母から子への手紙」コンテスト入賞作品発表会は九日、猪苗代町役場で開かれた。
 大賞に東京都の野沢顕子さん(四一)、準大賞に山形県の石墨玲子さん(六三)の作品が輝いた。県内では特別賞(郵便事業株式会社賞)にいわき市の高橋安子さん(八四)、優秀賞に田村市の菅野潔美さん(三七)が入り佳作も九人が受賞した。
 今回は国内と米国など海外四カ国から計千百五編が寄せられた。一次選考で選ばれた作品を対象に八、九の両日、町役場で最終選考を実施。芥川賞作家で福聚寺住職の玄侑宗久さん、エッセイスト大石邦子さん、元NHKアナウンサー末利光さん、一次選考委員代表の小林光子さんが大賞と準大賞各一編、優秀賞六編、特別賞二編のほか佳作を選んだ。
 大賞の野沢さんは「娘の温かい心はいつも光をくれる。手紙を書きながら、わが子のありがたみを実感した。その文章を評価していただき、うれしい」と喜びを語った。
 特別賞の高橋さんの手紙は、現在六十歳の長男が誕生した時、教員の仕事が忙しく母として愛情を十分に注いでやれなかったことをわびる内容。講評した玄侑さんらも「六十年前のやるせなさを八十四歳になった今なお忘れない母の心に衝撃と感銘を受けた」などと述べた。高橋さんは「当時を思うと今も涙が出る。息子に謝りたいという思いだけで、入賞など考えてもみなかった」と話した。
 表彰式は十二月六日に町体験交流館で行われる。

 福島民報 2009年11月10日
 

玄侑宗久さん名誉町民に 三春町が議会で可決  

 福島県三春町は十九日、福聚寺住職で芥川賞作家の玄侑宗久さん(五三)=同町字御免町一九四=を名誉町民に推挙した。同日開かれた町臨時議会で可決した。推戴(すいたい)式は十一月三日に町内三春交流館まほらで行う。
 玄侑さんは三春町生まれ。安積高、慶応大卒。僧侶の傍ら執筆活動を始め、平成十三年に「中陰の花」で第一二五回芥川賞を受賞した。福島民報の日曜論壇執筆者。二十一年四月から京都・花園大文学部客員教授を務めている。同町名誉町民は登山家の田部井淳子さん、建築家の大高正人さんに続き七人目。

 福島民報 2009年10月20日
 
 
 

 福島県三春町の芥川賞作家玄侑宗久さん(五三)=福聚寺住職=の小説を初めて映画化する「アブラクサスの祭」の製作発表記者会見は十一日、同町の三春交流館まほらで開かれた。映画初主演のミュージシャンのスネオヘアーさん(三八)ら出席者は県民とともにつくり上げる「ふくしまの映画」に強い意欲を示した。
 
玄侑さん(右から3人目)の案内で福聚寺を見る(右から)スネオヘアーさん、ともさかさん、加藤監督、小林さん、佐向さん
 記者会見にはスネオヘアーさんのほか、出演するともさかりえさん(二九)、小林薫さん(五七)、玄侑さん、加藤直輝監督(二八)、脚本の佐向大さん(三七)、企画・制作のオフィス・シロウズプロデューサーの松田広子さんが出席した。
 玄侑さんはスネオヘアーさんについて「初対面だったが、映画の成功を確信した」と称賛した。松田さんは県民から重要配役を募るオーディションの詳細を発表した。
 出演者とスタッフは会見後、玄侑さんが住職を務める福聚寺を訪ねた。
 映画製作には、同町と福島民報社、福島テレビが加わる。来年夏に公開を予定している。




 

 「主人公は白い紙のよう。ピュアに生きている」。三春町で十一日に開かれた映画「アブラクサスの祭」の製作発表記者会見で主演のスネオヘアーさんは役と真剣に向き合って演じることを誓った。ともさかりえさん、小林薫さんも成功に向け期待を込めた。ほれこんだ玄侑作品で商業映画デビューとなる加藤直輝監督も熱い思いを明かした。

 主役の淨念を演じるスネオヘサーさんは、やや緊張した面持ちで舞台に登場した。主演の打診を受けた時を振り返り、「うそだ!と思ったが、躁鬱のお坊さん役と聞いて、なるほどと納得した」と話した。
 淨念については「すべて破たんしているようで実はとても真っさらな、白い紙のよう。ピュアに生きている」と分析。「(ミュージシャンなので)演技のことは考えても仕方がない。共演の小林薫さんに見守られ、ともさかりえさんの尻に敷かれながらやっていきたい」と抱負を述べた。
 淨念の妻・多恵役のともさかさんは、父親が郡山市の出身。子どものころ毎年のように本県を訪れていたエピソードを紹介し、「(出演は)運命と思った」と明かした。撮影に向けては「淨念と多恵の間にある愛情の形は独特な感じがする。うまく表現できるよう、コミュニケーションをとっていく」と語った。
 淨念が勤める寺の住職・玄宗役の小林薫さんは「淨念をただただ見守る役柄。この作品自体を見守っていきたい」とした。
 記者会見に先立ち、福島民報社の渡部世一社長と福島テレビの糠沢修一社長があいさつした。

 
製作発表会見に臨む(左から)松田さん、佐向さん、加藤監督、小林さん、スネオヘアーさん、ともさかさん、玄侑さん、鈴木三春町長、佐藤国見町長  

「アブラクサスの祭」の映画化は、小説を読んだ加藤直輝監督の熱意で実現した。
 小説で描写される世界が映像として頭の中で浮かび上がり、物音や話し声もはっきり聞こえてきたという。自ら企画を玄侑宗久さんに持ち込んだ。会見で「素晴らしい俳優とスタッフで映画を作れるのは夢のようだ。完成に向けて突っ走っていく」と決意をにじませた。
 一方、作品が初めて映画化される玄侑さんは「映画が作られるのはうれしい。一人の観客として楽しませてもらう」と喜んでいた。

 記者会見には町民や映画ファンら約三百五十人が詰めかけた。ともさかさんが、父親の古里である本県への思いを話すと、大きな拍手が沸いた。来場者には、抽選で三人に出演者のサイン色紙が贈られた。
 玄侑さんの地元三春町と国見町がロケ地となり、製作開始を前に盛り上がりを見せている。記者会見には鈴木義孝三春、佐藤力国見両町長が出席した。鈴木町長は「町観光協会などを中心に支援組織ができた。町挙げて協力する。完成が待ち遠しい」と力を込める。三春町観光協会長で支援する発起人代表の幕田勝寿さんは「映画を成功させて、三春を全国にアピールしたい。全面的に協力する」と約束する。
 舞台の寺は国見町の龍雲寺で撮影される。佐藤町長は「『おくりびと』のように世界的に評価される映画になるように、支援していく」と話した。 


 福島民報 2009年8月12日(1面/23面)

『アブラクサスの祭』映画化関連記事のページ
 
 

 三春町の芥川賞作家玄侑宗久さん(五三)=福聚寺住職=の小説が初めて映画化される。同賞受賞後の第一作「アブラクサスの祭」(新潮文庫刊)で、主演はミュージシャンのスネオヘアーさん。今秋に玄侑さんの地元・三春町と、国見町の玄侑さんとゆかりのある寺でほぼ全編を撮影し、福島色の強い作品となる。来年夏の公開を目指す。原作も舞台も「ふくしまの映画」が全国に発信されることになり、本県の文化振興と地域活性化につながると期待される。十一日午後二時から、三春町の三春交流館まほらで製作発表記者会見を行う。

 浄念役のスネオヘアーさんは、音楽のみならず各界のクリエーターが注目するアーティストで、映画初主演。妻の多恵は幅広い人気を集める女優のともさかりえさん、浄念が勤める寺の住職玄宗は小林薫さんが演じる。
 「ナビィの恋」「ホテル・ハイビスカス」などを手掛けたオフィス・シロウズ(東京)が玄侑さんの承諾を得て映画化する。三春町、福島民報社、福島テレビが製作に加わる。監督は、東京芸大大学院映像研究科監督領域の一期生で北野武、黒沢清監督らに学んだ若手の加藤直輝さんが務める。加藤さんにとっては本作が商業映画デビュー作となる。脚本は佐向大さん。
 県民から出演者を募るオーディションも計画されており、県民参加型の「身近な映画」になりそう。撮影は、三春町と国見町の龍雲寺で主に行われる。
 十一日の記者会見にはスネオヘアーさん、ともさかさん、小林さん、監督の加藤さん、脚本の佐向さんらが出席する予定だ。
 記者会見は、一般の参加も受け付ける。来場者三人にスネオヘアーさん、ともさかさん、小林さん、玄侑さん、加藤監督、脚本の佐向さんの寄せ書き色紙を抽選で一枚ずつ贈る。
 問い合わせは三春町観光協会 電話0247(62)3690へ。

 
 
 映画化に期待を寄せる玄侑さん

 原作者の玄侑宗久さんは、初の映画化に「活字で表現する小説の世界を映画という映像と音の媒体でどう表現してくれるのか、楽しみ」と期待する。
 その上で「是と非が混同し、葛藤(かつとう)しながら生きる現代人の苦悩が浮き彫りになり、真剣に生きていこうとする人間がどう生きるべきかを問いかける作品になるのではないか」とみる。
 加藤監督については、「音楽的感性に優れ、魅力的な映像を撮る監督」と評価。原作を繰り返し熟読し、スネオヘアーさんとともにお寺で修行体験をするなどして作品づくりに取り掛かっている姿勢に信頼を寄せている。



福島民報 2009年8月5日 (23面) 

 
芥川賞の2人が客員教授に 花園大で花村、玄侑両氏

芥川賞作家の花村萬月氏(54)と玄侑宗久氏(52)が、花園大(京都市)文学部の客員教授に就任し、10日、大学での記者会見で「才能ある学生に来てほしい」などと抱負を語った。
 今月1日付で任期は1年。花村氏は、創造表現学科で若手小説家の育成に向けた講義を開く。大学と同じ臨済宗の福聚寺(福島県三春町)住職を務める玄侑氏は、国際禅学科で教える。
 花村氏は「小説の新人賞受賞者を出す野望がある。虚構を組み立てられる才能を待っており、作品を添削して生徒を選別する」と、厳しい講義を宣言。
 玄侑氏は「自分はこういう人だと思い込んでいる若い人が多い。思い込んでいる“わたし”をぶち壊すのが禅の仕事」と述べ、学生の意識改革を進める意欲を見せた。


福島民報 2009年4月10日 (3面)

 福島県三春町と姉妹都市を結ぶ岩手県一関市にある祥雲寺住職の千坂峰さんは3月中旬から約20日間かけ、三春町の福聚寺(玄侑宗久住職)の裏山約1ヘクタールを整備した。6日、現地で記念植樹式が行われ、岩手県の天然記念物「シダレカツラ」を植えた。
 祥雲寺と福聚寺は戦国時代の田村家の
菩提(ぼだい)寺という共通した縁から、昭和62年に実現した一関市と三春町との姉妹都市締結の橋渡し役となった。
 千坂さんは一関市で10年前から、荒れた里山を整備し「樹木葬の里」づくりを手掛けている。自然の生態系を大事にした樹木葬墓地は高い評価を受け、森林文化協会から「にほんの里百選」に選ばれている。
 玄侑さんが千坂さんに裏山整備を依頼したところ、千坂さんが無償で作業を快諾した。一関市の職人3人が協力した。伐採してあった杉材を活用。専用の機械でチップにして敷き詰め、散策路も設けた。
 千坂さんは「チップを敷くことでセイヨウタンポポなどの外来種が生息することを防ぎ、昔ながらの日本の里山づくりに役立つ」と語った。
 植樹式には千坂さんと玄侑さん、福聚寺檀家総代長の横山昭治さんらが参加した。樹齢40年のシダレカツラを手作業で植えた。
 玄侑さんは、小説「中陰の花」で第125回芥川賞を受けた人気作家。「千坂さんらの無償の奉仕に感謝している」と話し、裏山に今後、ヤマモミジなども植え、年間を通して探勝できる山にしたいと願っている。

福島民報 2009年4月7日 (3面)


  
 二本松市岳温泉の旅館の女将会「かたかごの会」主催の「第七回あだたら万遊博―女将と過ごすひな祭り」は最終日の二日、鏡が池碧山亭で、芥川賞作家の玄侑宗久さんの講演会「無量光明の世界」が開かれた。
 玄侑さんは人が死にゆくときに見るという阿弥陀如来の無限の光「無量光明」をテーマに自身の著書『アミターバ―無量光明』の物語や、「いろはうた」の基となった「夜叉説半偈」という死について短いお経の内容などを解説した。
「人間が感じたり認識している温度、色、音などは、いずれも波動を、脳がどう受け止めどう感じるかで決まる『幻想』といえる。一番深い『幻想』である時間が崩壊し過去の思い出が一列に並び、一番自由を味わうのが死の瞬間ではないか」などと語った。
 玄侑さんは三春町生まれで安積高、慶應大文学部中国文学科卒。平成十三年に「中陰の花」で第百二十五回芥川賞を受賞、十九年には柳澤桂子さんとの「般若心経 いのちの対話」で第六十八回文藝春秋読者賞を受賞している。
 あだたら万遊博は福島民報社の特別協賛、岳温泉観光協会、岳温泉旅館協同組合の共催で二十八日から二日までの三日間、岳温泉の各旅館を会場に催された。女将が講師を務める温泉、陶芸、押し花講座や女将が語り部の昔話会、地酒の利き酒会なども開かれ、延べ約千人が春の岳温泉を楽しんだ。

福島民報 2009年3月3日 (3面)


 
 野口英世博士の母シカが米国にいる英世にあてた手紙にちなみ、福島県猪苗代町(きずな)づくり実行委員会が企画した「第七回母から子への手紙」コンテストの入賞作品発表会は四日、猪苗代町役場で開かれた。大賞には山口県の山口みあきさん(四八)、準大賞に岐阜県の稲垣いづみさん(三六)の作品が輝いた。県内からは優秀賞に中島村の曲山恵美さん(二九)と本宮市の渡辺博美さん(三七)が選ばれ、佳作にも十一人が入った。
 今回は国内のほか米国や豪州、台湾からも応募があり、昨年を九十四編上回る千二百編が寄せられた。
 十月の第一次選考を通過した五十二編を対象に三、四の両日、町役場で最終選考を実施。三春町の福聚寺住職で芥川賞作家の玄侑宗久さん、会津美里町在住のエッセイスト大石邦子さん、元NHKアナウンサーの末利光さん、第一次選考委員代表の小林光子さんの四人が審査し大賞、準大賞各一編、優秀賞八編(うち特別賞一編)、佳作四十編を決めた。また、今回初めて海外からの応募作のうち二編を「海外応募優秀作」に選んだ。
 大賞の山口さんの作品は、極小未熟児で生まれ視力を失った娘が盲学校中等部に進んだ時、義眼コンタクトを贈った母に対して娘が投げ掛けた言葉と母子の愛をつづった。
 講評で玄侑さんは「大賞、準大賞の2編は内容、文章とも圧倒的だった。それ以外の作品も『原稿用紙一枚の中でこんなに表現できるとは』と感じる点が多く、あらためて感銘を受けた」と述べた。
 表彰式は十二月七日に町役場で行われる。

福島民報 2008年11月5日 (3面)


福医大 経営企画会議を設置  課題の情報共有、調整協議〜菊地理事長ら会見
  
 福島医大は一日、学内に法人経営企画会議を設置した。大学のさまざまな課題について医学部、看護学部、付属病院が情報共有した上で調整協議し、役員会の審議円滑化を図る。
 同日、就任した菊地臣一理事長らが」会見し明らかにした。
 経営企画会議は、大学の機能強化策の一環。大学の意思決定のスピードアップと効率化を図る。理事長と医学部長、看護学部長、付属病院長らで構成するほか、審議事項について調査・調整する理事長直属のブレーンとして三人を配置した。


 玄侑、根本氏ら外部委員に起用 

 また、経営審議会の外部委員を一新し、作家の玄侑宗久氏、前矢祭町長の根本良一氏ら五人を起用した。生と死に関する著作が多い玄侑氏には生命倫理の観点からアドバイスをもらい、根本氏からは前例にとらわれない発想と行動力を学びたいとしている。その他の外部委員は次の通り。
 林由美子(タカラ印刷常務)前原和平(白河厚生総合病院長)渡辺健寿(弁護士)
福島民報 2008年4月2日 (3面)




 郡山市仏教会の創立四十周年記念式典は二十四日、市内のホテルハマツで催され、仏教会の立場から一層の社会貢献を誓った。芥川賞作家の玄侑宗久氏の記念講演も行なわれ、約千五百人が耳をかたむけた。
 郡山市仏教会は市内の東山霊園の仏舎利塔の建設奉賛委員会を母体に設立された。各宗派の九十六寺院が加盟。これまでに托鉢(たくはつ)の浄財など総額二千万円以上を社会福祉のために寄付してきている。
 式典には約七十人が出席。三村真城会長が「寺院が社会的財産として役に立てるように努力していく」とあいさつ。原正夫市長、中村昌道仏教会会長、増子輝彦参院議員らが祝辞を述べた。歴代会長に感謝状が贈られた。福島民報社から橘政道常務・郡山本社代表が出席し玄侑宗久た。
 記念講演は式典に先立ち市民文化センターで行われ、玄侑氏が「日本仏教とやほよろず」と題して日本人のメンタリティーをさまざまな角度から分析した。「”八百万(やおよろず)”の無数の神々を認めていたのが日本人の基本ソフトであり美学。どれが一番というのでなく、どれも大切だと考えてきた。生(な)るということ、時に応じて変化することを素晴らしいと肯定してきた」と指摘。欧米的価値を至上とするようになった明治以降の日本人の心の在り方に警鐘を鳴らし「日本人に合ったやり方を考えたい」と語った。

福島民報 2008年3月25日 (3面)


 野口英世博士の母シカが米国にいる英世にあてた手紙にちなんで猪苗代町絆(きずな)づくり実行委員会が企画した「第六回母から子への手紙」コンテストの入賞作品発表会は5日、猪苗代町役場で開かれた。大賞には米国・ユタ州在住のペティ民子さん(三七)、準大賞に福岡県の菊川真由美さん(四二)が輝いた。県内からは優秀賞・郵政事業株式会社東北支社長賞に会津若松市の岡崎照子さん(四八)、同じく優秀賞に福島市の菊池孝子さん(六四)と、会津若松市の上野文子さん(四八)が選ばれ、佳作には十一人が入った。
 今回は四十七都道府県と米国から応募作品千百八点が寄せられた。このうち町内の母親らによる第一次選考を通過した五十五点を対象に四、五の両日、町役場で最終選考を行った。三春町の福聚寺副住職で芥川賞作家の玄侑宗久さん、会津美里町在住のエッセイスト大石邦子さん、元NHKアナウンサーの末利光さん、第一次選考委員代表の小林光子さんが選考委員を務め大賞一点、準大賞一点、優秀賞八点(うち特別賞二点)、佳作四十一点を決めた。
 大賞のペティさんの作品は、妊婦検診でおなかの子が障害を持って生まれてくる可能性が高いと告知された時の心情と決意をつづった。
 表彰式は十二月二日に町役場で行われる。
 大賞、準大賞以外の入賞者は次の通り。
 ▽優秀賞=足立朝子(兵庫、郵政事業株式会社賞)岡崎照子(会津若松、同東北支社長賞)菊池孝子(福島)相原薫(千葉)船曳公子(奈良)岸久代(栃木)上野文子(会津若松)田尻美保(鹿児島)▽佳作=相楽シヅイ(古殿)松尾テル(棚倉)佐藤恵理子(秋田)村田千幸(兵庫)鍋谷恵美子(富山)山城絹子(大阪)高橋キイ(福島)平石孝美(京都)国分直子(郡山)舘内久子(北海道)緑川美紀(大玉)小関洋子(茨城)伊藤利子(愛知)若狭洋子(鹿児島)元木美香(山形)風間孝子(山梨)松島紀美子(長崎)藤波泰子(埼玉)上原久美子(大阪)阿部美代子(郡山)鎌田史子(秋田)渡辺瑞穂(会津若松)桑原和津美(神奈川)谷口きよ子(北海道)小平一美(愛知)水野久子(いわき)戸田京子(北海道)西尾謹子(愛知)仁平井美枝(東京)沖たみ子(高知)鈴木俊子(富山)小野寺好子(三春)平山はるみ(茨城)浜田格子(秋田)渡辺博美(本宮)村上マチ(岩手)唯木美和(福島)井上泰子(兵庫)石森雅子(宮城)小仲芳美(京都)渡辺美智子(愛知)


福島民報 2007年11月6日 (3面)


きょうまで 東北の経営者が受講   猪苗代


 第三十五回商業界東北地方ゼミナール福島大会「ふくしまゼミ」は二日、猪苗代町のホテルリステル猪苗代で開幕した。三日まで。
 県内の商業経営者らでつくる運営委員会の主催。全国的に企業の不祥事が相次いでいることを踏まえ、今回は「商いの品格―ならぬことはならぬものです」をメーンテーマとした。
 県内をはじめ東北六県などから関係者ら三百五十人が出席した。開講式で大会会長の大高善兵衛ヨークベニマル相談役が「二日間のゼミを通じて商売の原点を学んでほしい」とあいさつ。オリエンテーションでは運営委員長を務める唐橋宏会津きり屋代表が大会コンセプトや受講に際しての心構えを示した。
 引き続き「分とく山」総料理長の野崎洋光さん(古殿町出身)が「おもてなしの心」と題して基調講演したほか、芥川賞作家で福聚寺副住職の玄侑宗久さん(三春町)の講座や、「商人妻のひとりごと」をテーマにしたパネルディスカッション「えらいところに嫁いでしまった!」なども開かれた。
 夜の遊食会では、本県の地酒や郷土料理が並んだほか、手打ちそばなどが振る舞われ出席者が親交を深めた。
 最終日の三日は斉藤一彦常磐興産社長による「町おこし講座」などが開かれ、スパリゾートハワイアンズダンシングチームも登場する。

福島民報 2007年10月3日 WEDNESDAY 経済(7面)


 




 
 家庭からの教育再興プロジェクト主催の「民間タウンミーティング・イン郡山」は十五日、郡山市のビッグパレットふくしまで開かれた。会津若松市で起きた高校三年男子の母親殺害事件を教訓に、今後の教育の在り方など子どもの周辺環境について意見を交わした。
 郡山市教委、福島民報社など後援。「他人事じゃない少年事件とその周辺を考える」と題したシンポジウムでは、国語作文教育研究所長の宮川俊彦氏がコーディネーター、会津藩士の末裔(まつえい)で直木賞作家の早乙女貢氏、芥川賞作家玄侑宗久氏(三春町)、同プロジェクト会長で明星大教授の高橋史朗氏、子ども問題スペシャリストの長田百合子氏、埼玉県教育委員の松居和氏、日本教育技術学会名誉会長の野口芳宏氏がパネリストを務めた。
 少年犯罪の背景などについて早乙女氏は「幼くて情報を選択できず、非日常的なものに引かれる部分がある」、長田氏は「親がはっきり良い、悪いを言わず、子どもは戸惑っている」と指摘した。
 松居氏は「親心が希薄になることが問題」、高橋氏も「親の責任感に問題がある」とした。
 教育現場について教諭の委縮が指摘された。野口氏は「問題を解決し教育や家庭など少年犯罪の周辺環境について意見を交わしたシンポジウムた教師が評価され、予防が評価されていない」と現状を嘆き、玄侑氏は問題があると体制が変わることについて「システムに自信をもっていない。どこでき然とするのか」と指摘した。
 シンポジウムに先立ち、早乙女氏が「士魂と現代社会」をテーマに講演した。
福島民報 2007年7月16日 3面
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