■「ダーナ」夏号(佼成出版社) 2006/SUMMER DANA INFORMATION BOOK

 遺伝子科学者の村上和雄さんと作家・僧侶の玄侑宗久さんの対談集。サムシング・グレートを感じる科学者と科学に造詣の深い禅僧が、いのちの不思議や素晴らしさ、心と遺伝子の関係、生命の目的などについて語り合った一冊。


■「大法輪」(大法輪閣) 2006年7月号 書物の輪蔵 

 世界的に高名な遺伝子学者・村上和雄氏の研究のあり方は、とてもユニークだ。例えば「心が遺伝子を動かす」という仮説のもと、吉本興業と協力しあって「笑い」と遺伝子との関係について研究し、ついに「笑いは血糖値を下げる」という結論を導いたりする。
 この度刊行された『心の力』は、村上氏と、禅僧にして作家の玄侑宗久氏との対談集。仏教と現代科学との間に多くの共通点があることを確信する玄侑氏と、科学の側から「心」「いのち」のありようを真摯に追求する村上氏、両者の視点が見事に一致していく様子は、感動的である。心とは何かが見えてくる一冊。






■「ダカーポ」(マガジンハウス社)2006年7月5日号(6月21日発売号) 旬の本 文庫本ピックアップ

 『あの世 この世』(瀬戸内寂聴・玄侑宗久/新潮文庫/380円)は仏門に身を置く作家の人生相談。年齢差は34歳、男と女の違いもあって、仏教と人生の見方にどんな異同があるのか、そこにも興味をひかれるが、仏教のやさしい入門書としても読める。愛欲の悩み、愛する人との死別、この世とあの世についての考え方など、これまでの体験と遍歴を土台にして語り合っているので、宗教を敬遠しがちな人にも読みやすい。