怒りとは不思議なものだ。仏教では「瞋」と表されるが、誰にでもある煩悩の代表格である。おそらく、怒ったことのない人は、此の世に存在しないだろう。しかし、そのような人間のためにこそ、慈悲があるのではないか。自らの怒りが包み込まれる大海のような場としての慈悲。それを、賢治は『法華経』への信仰に見出したのだろう。
仏教者の視点から宮澤賢治に対座した思索
宮澤賢治を読んでいて、いつも「透明な怒り」を感じるという著者
宮澤賢治と同じ仏教者としての視点から、賢治の世界に分け入り、その真実に迫る思索エッセイ
※初出誌
「小説現代」2005年9月号〜2006年6月号
ISBN4-06-213559-0
四六判 128 X 188mm 230 ペ―ジ
定価1,575円(本体価格1,500円)
講談社
8月28日(月)発売
【目次】
まえがき 檻の中の篝火
第一章
「春と修羅」の周辺
第二章
愛と慈悲、そして行き過ぎる表現
第三章
動物への慈悲、そして美しき徒花
第四章
静なる職業と慈悲
第五章
自力の慈悲、他力の慈悲
第六章
慈悲と通信
第七章
「もう一つの国」と植物たち
第八章
田園とインドラの網
第九章
慈悲のからだと「雨ニモマケズ」
第十章
「聴く」という慈悲
あとがき
拈華苦笑?