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 「お布施の明瞭化」巡り論議   葬儀は誰の為に…全日仏が初の公開シンポ   学者・僧侶・評論家ら各分野で問題提起   料金提示は収益事業に   宗教行為で公開を否定   臨機応変が仏教の魅力


全日本仏教会(有田惠宗理事長)は十三日、初の一般向けの公開シンポジウム「葬儀は誰の為に行うのか?〜お布施をめぐる問題を考える」を東京・秋葉原コンベンションホールで開いた。経済学専門家や評論家、僧侶らが参加し、それぞれの立場から葬儀や寺檀関係などについて論じた。ディスカッションでは「お布施の明瞭(めいりょう)化」に関して、否定的な意見が相次いだものの「人を見て対応すべき」など、さまざまな意見が出された。


 中外日報 2010年9月16日
 

宗教者は生命科学に慎重派であれ   臓器は資源でない   議論より現場へ   
対本医師   いのちに関するシンポジウム     妙心寺派東京禅センター 


臨済宗妙心寺派東京禅センターと東京教区共催の「いのちに討論する対本医師、玄侑、野口、江角(各住職)関するシンポジウム」が二十日、東京都世田谷区・龍雲寺の東京禅センターで開催された。帯津三敬病院勤務の対本宗訓医師(元佛通寺派管長)が「いのちの現場より」と題して講演。「臓器を利用可能なパーツとする考え方にはなじめない。過渡的医療であれ、脳死臓器移植は積極的に認めたくないというのが本音だ」と述べるとともに、宗教者として"いのち"の現場に触れる活動の大切さを強調した。


 中外日報 2010年6月26日
 

仏教伝道協会が実践布教研究会   超宗派の僧侶65人が参加

 (財)仏教伝道協会(沼田智秀会長)は十八〜二十日、神奈川県鎌倉市の臨済宗建長寺派大本山建長寺(吉田正道管長)で第三十九回実践布教研究会を開催した。超宗派の僧侶を集めて各宗派の本山などで研修し、幅広い視野を持った仏教伝道者を育成することを目的としたもので、今年もほぼすべての伝統教団から約六十五人の参加者が集まった。
 研修では坐禅体験のほか、建長寺の吉田管長による提唱や永井宗直教学部長の講話、また玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職・作家)、養老孟司(東京大学名誉教授)両氏の講演なども行なわれた。
 参加者らは初日、横浜市の孝道教団を参拝し建長寺に到着。開講式で沼田会長は「多宗派の方々が集まるこの研修会での体験を参考にし、今の日本仏教界が抱える諸問題を各自が解決していってくれれば幸い」と挨拶。建長寺派の高井正俊宗務総長は「建長寺派でも僧侶に対するさまざまな研修を行なっているが、率直に言って意識が低い。意識ある人たちが何かやっていかないと、今後の日本仏教は危うい。存分に修行していってください」と話した。
この後、建長寺僧侶から坐禅の仕方を教わり、参加者全員で坐禅体験。禅宗以外の僧侶からは「坐禅は初めて」「足がどうにも組めない」といった声もあったが、何とかやり遂げた。
 精進料理の食事の場面では「黙って食べてください」「食器の音を立てないで」「食事が終わったらお茶と漬物で食器を清めて」といった建長寺僧侶の注意に、目を白黒させる参加者も。
 二日目は早朝から朝課・坐禅の後、僧堂に移動し、接心中の修行僧らと吉田管長による「大覚禅師語録」の提唱を聴講。「雲水時代に精いっぱい修行するんだ。今は意味が分からなくても、将来必ず役に立つ日が来る」という修行僧に向けた吉田管長の激励を、参加者一同胸に刻んだ。
 「禅的な生き方」と題して講演した玄侑氏は、禅宗の歴史や公案、僧堂修行の話などを展開。またフランスの童話「青い鳥」の筋書きに触れ「チルチルとミチルは、結局幸せは自分たちのすぐ身近な家にあるのだと最後に気付く。私も僧堂の禁足修行の中で一種の『安らぎ』を得た。そういう価値観が禅の中心にはある」と語った。
 また養老氏は「現代社会と仏教」と題して講演。西洋の町は大抵その中心に教会か劇場があると話し、「宗教も演劇もつまり虚構。しかし社会とは虚構で成り立つもので、そもそも国家というもの自体が虚構。お坊さんはそうした事実を踏まえ、自分たちの言動を考えていってほしい」と訴えた。


中外日報 2009年5月26日

 芥川賞作家の玄侑宗久臨済宗妙心寺派福聚寺住職に九日、妙心寺派の宗門文化章が授与された。東海大光管長から賞状などを授与された玄侑氏は「僧侶と文学者を兼ねてゆくことをあらためて強く決意しました」と受賞の喜びを述べた。

 宗門文化章は学問・芸術・文化上の著しい業績があった僧侶、寺族、檀信徒を対象に贈られる褒章で、過去、故・吉田紹欽氏、故・柳田聖山氏なども受賞したが、最近では平成十五年に山田紀彦富士学苑理事長が授けられている。
 宗務本所議場で内局役員臨席のもと授賞式が行われた。東海管長が「宗風の高揚ひいては宗門が推進する社会的貢献の一翼を担った」と授賞理由を述べて賞状、副賞を贈った。玄侑氏には宗制に基づき、併せて再住職待遇が特授された。
 東海管長は「素晴らしい文章をさらに世に送り出してください」とお祝いの言葉を述べ、細川景一宗務総長も「(玄侑氏の活動を)宗門発展のため大変喜ばしく思っています」と祝福した。 
 受賞した玄侑氏は「こうした活動を評価していただけるのは、それぞれの”家風”を認め、多彩な個性を受け入れてきたわが宗門ならではと考えます」と語るとともに、「文学は定型がなく、いわば作品ごとに新たに井戸を掘るようなもの。非定型精神病の僧侶を主人公とした『アブラクサスの祭』のように、宗門の方は喜ばないだろうと思う作品もあります。しかし、そうした作品においても、私自身、水脈は深いところで宗門とつながっていることを意識しています」と自らの作家活動の姿勢を示した。

中外日報 2009年4月14日3面
玄侑宗久氏ら講演

 宮城県松島町の臨済宗妙心寺派瑞巌寺(吉田道彦住職・師家)で一日、白隠慧鶴の禅画をテーマとする「白隠フォーラム・イン・松島」が開催された。作家の玄侑宗久氏(妙心寺派福聚寺住職)と芳澤勝弘花園大学国際禅学研究所教授が講演。玄侑氏は白隠禅師の禅画における表現上の工夫に禅師の「方便力(観音力)」を指摘、そこに「上求菩提下化衆生の強い意志」を読み取り、臨済禅中興の祖としての白隠禅師の位置をあらためて浮き彫りにした。
 同フォーラムは、瑞巌寺宝物館(青龍殿)で六月二十九日まで開催中の「白隠禅画墨蹟展」の関連企画。白隠の墨蹟の全国的調査を進めている国際禅学研究所が開催に協力し、会場となった瑞巌寺の書院にはおよそ三百人の聴衆が集まった。
「白隠さんの観音力」と題して講演した玄侑氏は、白隠禅師が法華経を読誦するうち方便品から譬喩品に至って声をあげて泣いた、という四十二歳の大悟のエピソードを紹介。方便品の三止三請、譬喩品の三車火宅、信解品の長者窮子の喩えや白隠禅師の逸話などを引き、おびただしい書画を相手に応じて描き与え、多くの語録、仮名法語を遺した白隠禅師の「方便力を極めるという願」を説いた。
 一方、芳澤教授は「白隠禅画の独自性」をテーマに、白隠が描いた布袋像を分析。「すたすた坊主」「わいわい天王」や乞食芸人として表現された布袋が、実は白隠自身の化身・自画像であり、白隠の観音力の象徴である、と論じた。さらに、禅画に添えた白隠の賛を読み解き、対機説法、縁なき衆生を導く"方便"の禅的メッセージを明らかにした。そして、「十字街頭の禅」としての白隠の活動を強調し、禅の大衆化の観点から白隠禅画の意義を強調した。

中外日報 2008年5月8日 
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