医療ルネサンス郡山フォーラムで基調講演 玄侑さんインタビュー
「人を診る医療に期待」

 読売新聞福島版の医療連載「命をつなぐ絆」に連動して企画された、医療ルネサンス郡山フォーラム「命をつなぐ絆―患者と医師が信頼を築くために」(12月2日)では、心身を患う人たちの内面に迫った作品を多く手掛けてきた作家の玄侑宗久さん(49)が基調講演に立つ。玄侑さんに、医療に望むことや患者と医師の信頼関係について語ってもらった。

 

 ――「養生を支える医療」という講演タイトルにはどのような意味が込められているのか。講演ではどのような点を強調したいか。

 「養生とは元気を養うこと。養生が生活の基本だと思う。医療は人が元気になるための補助的なことで、元気にしてくれるものではない。しかし、病気をいかに治すかだけではなく、どのように元気を養うかという視点も必要。人の意識やイメージがいかに体を左右するか、話したい」

 ――患者と医師の人間(信頼)関係をどうとらえているか。

 「医師への信頼が生み出す医療上の効果は大きく、医療者を疑うような状況は、理想とは思えない。医学的な専門知識がない患者は、やはり弱い立場にあり、信頼関係を築くのは、患者側からはなかなか難しいと思う。とはいえ、患者側も、自分のことを診てもらうのだから、自分のことに関しては、医師以上に『自分の専門家』となることが必要だ」

 ――著書には、健康食品に頼る患者の内面に迫るものもある。そうした患者の心境をどうとらえるか。医療への期待について語る玄侑宗久さん

 「医薬品にはデータがあり、どの程度効果があるのか、はっきりしている。一方、医薬品として認可されていないものは、まだ分からない部分もあり、逆に奇跡を信じる余地がある。そうした奇跡にかける思いがあるのではないか」

 ――宗教(宗教家)と医療(医師)の役目に共通する部分はあるか。

 「ある。かつては、加持祈祷(きとう)が治療行為として行われていた時代もあり、(末期がん患者を支える)緩和ケアは心の問題でもある。元気を作るテクニックは宗教にもあるので、当日お見せしたい」

 ――自分がもし病気にかかったら、どんな医師にかかりたいか。

 「元気をもらえる医師。診療科目にとらわれず、全体としての『私』というものを個別に診てほしい。かつては、経済力や身分で治療に差が出る時代があった。近代医学では、その反省から人ではなく、病を診るようになった。今また、違った意味で、再び人を診る医療を期待したい」


読売新聞2005年11月4日号(福島版)

【基調講演】

演題「養生を支える医療」

【パネルディスカッション】

テーマ「医療に求めること、患者に求めること」

コーディネーター 前野一雄 読売新聞東京本社医療情報部長
パネリスト 玄侑宗久
清水とよ子 医療消費者ネットワ−クMECON代表
坪井栄孝 (財)日本医療機能評価機構理事長
【敬称略】