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本を読む場所 文殊堂 |
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「三春」という美しい名の駅で降りた頃からちらついていた雪が、今は椿の花弁ほどの大きさになって、禅寺の山門をなぶってゆく。堂宇脇の庫裏から飛び出してきた宅急便と入れ替わりで玄関を覗くと、作務衣姿の玄侑宗久さんが、ミネラルウォ−タ−の段ボール箱を抱え上げているところだった。
「あ、どうぞ上がってください。さっき法事が終わったばかりでばたばたと……なかで、待っていて下さい」
お忙しいのだ。当然である。作家の仕事たる作品の執筆や雑誌への寄稿、テレビ収録やインタビュー取材のほかに講演や対談があり、同時に僧侶としての仕事もぎっしりと詰まっている毎日。ゆえに「本を読む時間といえば、法事と法事の間や講演への移動中になってしまう」と、座敷に戻った玄侑さんは苦笑いする。
「だからこそなんですが、”いつも読んでいる場所”というより”読みたい場所”としてひとつ、ありまして」
そういって案内してくださったのは「文殊堂」。
「地域の学校や公民館や役場としても機能していた、室町時代のお寺をイメージして作った所です。図書館やビデオライブラリーを誰にでも、自由に使ってもらおうと。床暖房だし、静かだし、一度ここで本を読んでみたかった(笑)」
そこは、12畳ほどの空間。障子を開けると、雪の舞う空が見えた。
「本を読むって、当人の頭の中はクリエイティブなのに、他人から見ると遊んでいるみたいで肩身が狭い(笑)。だから、こういう隔絶された場所が理想。電話線も抜いてしまいました」
資料本や献本として送られてくる本は月に数十冊以上。だが、仕事と関係なく自分に為に読むのは「理系の本」なのだと、玄侑さんはいう。
「数学者や物理学者の本を読んでいると安らぎます。俺は今一服しているんだぞ、と思える(笑)」
微笑んでそう仰るのだが、むろんそれだけではない。そこに描かれた「科学の世界」は、常に「仏教の世界」とリンクしているのだ。
「サイエンスは”事象が起こる原理”ではなく”事実を説明する原理”。たとえばこの本に書かれている最新の共時性理論のことを、お釈迦様は既に何千年も前に説いておられるわけです。だから共時性がわからなければ、仏教の真の価値もわからない。同じことなんですよ」
文明の壁を乗り越えて現象の世界に遊ぶ、豊かなひととき。外は雪。
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「男の隠れ家」2006年2月号 |
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【愛読書2冊】 |
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複雑きわまりない現実を巧みにモデル化する非線形科学の第一人者が、「同期」をめぐる驚くべき科学上の成果を、絶妙な比喩を駆使して物語る、必読のポピュラー・サイエンス。
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第1部 生体における同期(ホタルはなぜ、いっせいに光るのか?;脳波と同期現象の条件;睡眠と日々の同期現象)
第2部 同期の発見(同期する宇宙;量子のコーラス;橋)
第3部 同期の探求(同期するカオス;三次元における同期;「小さな世界」ネットワーク;ヒトと同期) |
| 無数のホタルが同時に光るのも、ポケモンを観ていて子供たちが発作を起こしたのも、すべては自然の事物がシンクロする「同期現象」で説明できる。この複雑かつ興味深い分野の第一人者が、絶妙な比喩を駆使して語る出色の科学解説。 |
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ランダムな宇宙
六次の隔たり
小さな世界
ハブとコネクター
80対20の法則
金持ちはもっと金持ちに
アインシュタインの遺産
アキレス腱
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ウイルスと流行
目覚めつつあるインターネット
断片化するウェブ
生命の地図
ネットワーク経済
クモのいないクモの巣
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インターネットの弱点、エイズの急速な広がり、マイクロソフトのひとり勝ち、アルカイダの組織など、ついに複雑系の姿をとらえた話題の書。
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