なお続く宗教との対立
新 科 論

ブンガクとの遭遇D

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※コメント部分のみ転載しております。
 歴史的には、科学と宗教との関係は単純な「対立」の構図ばかりではなかった。「神(創造主)がつくった真理」を探し求めた著名な科学者も珍しくない。
 仏教は、キリスト教やイスラム教と違って創造主を前提とせず、科学との関係も様子が違う。
 芥川賞作家で、福島県三春町の寺の副住職を務める玄侑宗久さんの作品には、科学的な描写がよく登場する。
 近作「アミターバ―― 無量光明」では、死期が近づいて「極楽浄土とはどんなところか」と問う主人公に、作者と重なる僧・慈雲が相対論や量子論の言葉を使って説明しようとする場面がある。
 玄侑さんは「仏陀は、人が何かを観察した結果である『色』ではなく、観察者も含めた全体である『空』を見るように教えた。この『色即是空』の教えは瞑想によって実感されるもので、理知的に理解することは難しいが、量子力学である程度のイメージはつかめる。仏教的世界観への導入として科学的な理解はとても有効」と話す。
 観山正見(みやましょうけん)・国立天文台長は天文学者であり、僧侶でもある。「欧米の研究者に『父は住職だ』と言うと驚かれるときはある。だが自然をあるがままに受け入れる仏教は、自然の道理を説く科学と矛盾しない」という。
 さらに「中世西欧での宗教と科学の間の矛盾や論争が、結果的に科学を進歩させる原動力になった面もあるのではないか」と話す。
 「天使と悪魔」のブラウン氏は、仏僧が物理学の本を読んで教義を確かめ、物理学者が素粒子実験で宗教的経験をするという例を挙げ、「人類史上初めて、科学と宗教の境があいまいになり始めた時代に私たちは生きている」と公式サイトのインタビューで語っている。
 科学と宗教の関係はどのように変わっていくのか、それが世界をどう変えるのか―― 考えるよすがは、文学に見つかるのかもしれない。
上田俊英=ワシントン
勝田敏彦
(敬称略)
朝日新聞 2006年5月9日夕刊/5月10日朝刊
(株)朝日新聞社 知的財産センタ−承諾番号20061006(2006年5月10日〜1年間)
     
   
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