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| 現代のように個々の価値観が多様化してくると、「願いをもつこと」はひと昔前よりも難しくなっている気がします。 多くの日本人が貧しかった時代は「健康でいまよりもっといい生活がしたい」という願いがほとんどだったでしょう。価値観が一致していて、望むことがシンプルだった分、生きることに力があった時代ともいえます。 気がつけば、貧しさから脱して、誰もがある程度の生活ができるようになり、生き方は多様化し、価値観もそれぞれに異なるようになりました。お金だけがあっても満足できない人もいるし、その逆もある。仕事にこだわりをもつ人もいれば、プライベートの充実を図りたいと思う人もいる。不満がないとはいえないけれど、切実な願いをもつほど切羽詰っていない。 もちろん、誰にも漠然とした願いはあるのでしょうが、「これだ!」という深い願いをもちにくいのがいまの時代だといえるでしょう。 一方でうつ病患者は推定六百万人というデータもあります。自殺者も年々増えている。願いをもつことすらできない精神状態の人々も多いわけです。 ですから私は願いをもつことの前段階として、どうしたら願いをもてるようになれるのか、つまり健康な心をもてるようになることが大事だと思うのです。願いをもつ力はたしかに生きる力につながります。明日を前向きにイメージできるそのための準備として、まずは健康な心を作ることです。 |
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| 私は、元気の源であるセロトニン神経の研究をしています。この神経は睡眠時にはほとんど働いていません。起きて活動を始めると活発に働き始める神経です。 たとえば車のアイドリングをイメージしてください。アイドリング状態は車を動かす準備状態。アクセルさえ踏めば、いつでも車が動き出せる準備が整っている状態です。 セロトニン神経はそれと一緒で、人間が動き出す準備を整えてくれる神経です。この神経がうまく働かないと、なんとなくやる気がでない、動きにくい状態になります。 反対にセロトニン神経が順調に働いているとl、スッキリ爽快な気分になります。心に不安や緊張がなく、穏やかな状態です。体調も非常に良く、意欲的になれる状態です。 現代人は、このセロトニン神経がうまく働いていない人が多いのです。疲れているわけではないのになんとなく目覚めが悪い、気分がすっきりしないという人は、セロトニン神経が働いていない証拠。当然のことながら、何かを望む、願いをもつ気持ちになれないはずです。 では、元気の源・セロトニン神経を活性化するためには何をすればいいのでしょう。 それは、とてもシンプルなことです。規則正しい生活と、意識的に筋肉をリズミカルに動かすリズム運動を行なうことです。具体的に紹介しましょう。 まずは、朝、太陽の光をきちんと浴びること。太陽はセロトニン神経を刺激する大切なアイテムです。そして、朝日を浴びてリズム運動をする。朝しっかり演出することは、スッキリ爽快な気分で一日を過ごすためのポイントです。 リズム運動にはいろいろな方法がありますが、激しい運動ではなく、日常の動作をリズミカルに行なってください。代表的なものとして歩行、呼吸、咀嚼があります。 歩く場合は、早すぎず遅すぎず、気持ちいいと思う一定の速さで歩くことが大切です。 呼吸も同じ。普段、意識しない呼吸ですが、リズム運動として呼吸を行なう場合は、普通の呼吸ではなく、吐くことを意識してください。現代人の呼吸は浅くなっているといわれます。息を吸うことは意識しても吐く動作は自然と行なってしまいがちだからです。吐くことを意識して深く呼吸してみましょう。 そして、咀嚼。柔らかいものを食べることに慣れている現代人は噛む行為を怠りがちです。食事をするとき、意識して咀嚼することが大事です。または、ガムをリズミカルに噛むのもいいでしょう。 これらのリズム運動をする際に注意しなければいけないのが時間です。 セロトニン神経を微笑ませるためには、運動時間が短すぎても長すぎてもいけません。最低でも五分以上は継続をすること。また、長くても三十分までとしてください。それ以上、継続するとかえって疲れて、セロトニン神経の働きが鈍くなってしまいます。 たったの五分? と思われるかもしれませんが、意識して動作を行う五分は意外と長いもの。歩く、呼吸する、咀嚼することに意識を集中して、意識的に筋肉を動かす。この「意識する」ことがセロトニン神経を活性化させていくのです。 セロトニン神経がしっかりと働くようになれば、心身ともに健康になり、自己実現する何かを見つけられるようになるはずです。そうなれば一日一日を大切にするようになってきます。 そうした毎日を過ごせるようになれば、自然と願いがわいてくるでしょう。あるいは、いま、気づいていないだけで、そうした心身健康な状態があなたの願いなのかもしれません。 現代人の願う心は、健康な心身から生まれます。そのためにセロトニン神経を微笑ませることから心がけましょう。 |
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